誰もいないリビングのソファでまったりと過ごすおやつタイム。たまにはこういう静かなのもいいなぁ、なんて甘いプリンを口に運びながら思う。
 今日、この家にはあたしとルカしかいない。バナナイスはビジュアル系っぽいライブで、リンとミクはグミちゃんの所に遊びに行っている。つまり、いつもとは違うゆったりおやつタイムを過ごすことができるというわけだ。正直すごく楽だ。いつもよりもプリンが美味しく感じるのも、多分あたしが今全然気を張ってないからだろう。

「あー…幸せー…。」

 ゆっくり過ぎる一人の時間、それから甘くて美味しいプリン。それはもう贅沢なことだと思う。自然と顔がにやけるのも仕方ないよ、うん。
 別にミクたちが嫌いなわけじゃない。むしろ大好きだ。かけがえのない存在と言ってもいい。でも、たまにはゆったりまったりしたいもんなんですよ。たまには、ね。
 ぱくっ。プリンを口に運ぶ。口内に広がるあまぁい味に浸ると、やっぱりなんだか幸せな気分になった。

「…メイコさん。」
「ふぎゃ!」

 完全に気を抜いていたあたしはルカの気配に全く気が付かなかった。突然耳元で囁かれて、鼓膜が刺激される。耳って性感帯なのかな、なんかくすぐったい。今度ルカにちょっかい出すときはまず第一に囁いてやろうと思う。
 あたしの叫び声を聞いたルカは、もっと色っぽい声を出してくださいよ、なんて言って笑った。それから、あたしの隣に座る。

「あたしに色気とか求めちゃ駄目でしょ。」
「PV撮影のときはあんなに色気振りまいてるじゃないですかー。」

 ルカの方を見て言うと、ルカは頬を膨らませた。綺麗な大人びた顔でやられても、困る。なんだか可愛く見えるじゃないの。や、まあルカはいつも可愛いけれど。
 あたしののんびりゆったりおやつタイムは邪魔されたけれど、ルカと二人の時間もまたあたしには嬉しいものだ。普段はあまりいちゃつかせてくれないルカも甘えてくれるし。正直、さっきまでよりもっと幸せな気分だったりする。そんなこと言っても、ルカを喜ばせるだけだから言わないけど。喜ばせることはいつでも出来るし、どうせなら余裕を崩して焦って真っ赤になるルカが見たい。まあ、それも案外よく見れる光景だけどね。真っ赤なルカは、可愛いからいいの。いつでも見たくなる魔力がある。だから、あたしは悪くないもん。

「ルカー、…あーん。」

 とりあえず、食べかけのプリンをルカに与えてみる。これだけだと喜ばせちゃうから、中々ルカを恥ずかしがらせるのは難しいのかも。まあ、あたしは慣れてるんだけどね。可愛いルカを見るために努力してるのです。うん、あたし偉い。
 ルカは嬉しそうに口を開けた。あーんを待っている状態のルカ。なんだか親に餌を貰うのを待っている鳥みたいに見える。可愛いなー。

「ルカ、目ェ閉じて。」
「あーん、なのにですか?…まあ、別にいいんですけど。」
「ん、いーこいーこ。」

 素直に目を閉じてあーんを待つルカを見て、あたしは瞳を細めた。この従順な可愛いいきものであるルカは予想外の不意打ちにめっぽう弱い。あたしはよくそれを利用して、ルカを赤く染めるのだ。赤って、あたしのイメージカラーなのよね、なんて。
 あたしはすくったプリンを自分の口に放り込む。何回かすくって、また自分の口の中へ。
 ルカは、中々あーんがこないのを焦れたのか、眉に少し皺が寄っている。このくらいの我慢、出来ないとこれから大変よ?あたしは焦らすの大好きなんだから。

「…めーこさん?」

 ルカが焦れた声を出したのを合図に、あたしはルカの頬を両の手で包み込んで、唇を相手の軽く開かれた唇に押しつけた。驚いて目を開いたルカと、あたしの目が合う。あたしが瞳を細めると、ルカの瞳の奥に期待と不安の交じった感情が見え隠れした。
 あたしはソファの上で半立ちになって、ルカの口内にプリンを流し込む。一緒に舌もねじ込んだ。

「…ん、あ。」

 ルカの暑い舌と、その中に広がるプリンの甘さを堪能する。舌に舌を絡め、プリンを相手の舌に塗り付けたり、そういう行為の度に少し洩れるルカのプリンなんかより幾分甘い声に耳が刺激される。
 いつのまにか瞳をぎゅっと閉じていたルカを至近距離で確認して嬉しくなる。あたしも、ゆっくり瞳を閉じた。
 ルカの口内を犯すのは、楽しい。何度も何度も執拗に舌を絡めると徐々にルカの口内は熱を帯びていった。

「…おいしかった?」

 唇を離すと、口内が交じり合った証に唇の端から糸が引いていた。ぼんやりと焦点のあっていないルカを見て、嬉しくなる。余裕なんて、無くなったかしらね?余裕満々なルカも可愛いけれど、やっぱり余裕の無いルカも可愛い。

「…めーこさんの、いじわる。」
「今更知ったの?」
「いえ、めーこさんは、いつもいじわる、です。」

 とろんとした瞳の中には、明らかに情欲が交じっている。いつもよりも発音の悪い甘ったるい声にあたしは笑みを向けた。

「ルカ、あんたをいっぱい愛してあげる。」

 ルカがこくん、と従順に頷いた。あたしはにっこり笑ってルカの唇にもう一度口付けた。






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素敵メイルカを相互記念として頂きました!自慢です。

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